Project/Area Number |
05770712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水上 勝義 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20229686)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | エコノモ型脳炎後パーキンソニズム / 神経原線維変化 / ghost tangle / 免疫組織化学 / 超微形態 / 人格変化 / 知能低下 / 痴呆 |
Research Abstract |
エコノモ型脳炎後パーキンソニズムの5例(平均経過年数49.2年)について臨床病理学的に検討を行った。本症の精神症状としては人格変化が最もめだち、自己中心性、無遠虚、落ち着きのなさ、強情、易刺激性などがめだった。一方、記憶や見当識などにめだつた障害を認めない症例が多く、知能障害を認めた症例でも、むしろ注意や集中の障害の結果として知的脳力の低下をきたしたと考えられ、少なくともアルツハイマー型痴呆のような大脳皮質型の知能の低下は認めなかった。神経症状ではパーキンソン症状を全例に認めたほか、注視障害、注視痙攣、対光反射の異常などの眼症状も全例に認めた。臨床経過をみると、いずれの症例も精神症状が先行しており、パーキンソン症状は脳炎罹患後かなり長期(25年以上)経過して出現した症例もあつた。 神経病理学的に、最も高度の変化は黒質にみられ、残存神経細胞は著明に減少し、残存する神経細胞に神経原線維変化が散見された。炎症所見はすでに消退していた。さらに今回は、脳炎後パーキンソニズムの神経原性変化の超微形態的、免疫組織学的特徴について検討し、アルツハイマー病のそれと比較検討した。細胞体内神経原線維変化は抗PHF、抗human-tau、抗ubiquitin抗体に陽性であったが、細胞外のいわゆるghost tangleはこれらの抗体に陰性であった。また超微形態的な検討では、ghost tangleは、異常な細管の束と細胞器官の遺残物から構成されており、グリア線維がそれを囲い、時にはghost tangle中に侵入していた。これらの結果は、アルツハイマー病の神経原線維変化における超微形態的、免疫組織学的検討の結果と同じであり、今回の研究からエコノモ型脳炎後パーキンソニズムの神経原線維変化とアルツハイマー病のそれとは、超微形態的、免疫組織学的特徴が同一のものであることが示唆された。
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