Research Abstract |
中枢神経系では、発生過程に多くの神経細胞がアポトーシスで失われるが、その機序は不明である。本研究ではbcl-2遺伝子の神経系における機能、特に神経細胞死との関連を明らかにすることを目的として中枢神経系の発育、分化過程とbcl-2遺伝子の発現との関係を調べ、以下の成果を得た。 1 発育途中の脳内神経細胞における bcl-2 mRNAの発現: マウス胎生15日の脳より得た初代培養神経細胞のbcl-2alpha,bcl-2beta mRNA量を蛍光化プライマーを用いたRT-PCR法で定量した。2種類のmRNAは培養日数の経過と共に減少した。in vivoでの発現は、胎生15日がピークであるため、さらに早期の神経細胞を用いて測定を行う予定である。また、in situ hybridizationによりbcl-2 mRNA発現細胞の分布を調べる実験の準備も行っている。 2 強制発現: マウスbcl-2alpha,bcl-2beta cDNAをクローニングし、熱ショックタンパク質のプロモータ下流に組み込んでPC12,P19細胞に導入し、培養温度の変化によりbcl-2 mRNA発現量がコントロールできる細胞株を得た。詳しい解析はこれからであるが、培養温度上昇後速やかにbcl-2 mRNAの増加の見られることは確認してある。 また上記と平行して、初代培養神経細胞を用い、脳の性分化に関与するアロマターゼ遺伝子の発現制御機構の解析を行い、部位特異的、細胞特異的な発現の見られることを明らかにした。
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