Research Abstract |
腎循環は種々の体液性および神経性因子により調節されており,これらにより総腎血流量のみならず,皮膚,髄質各層各部位における血流配分が影響を受け,その結果病体下では腎の生理調節機構に変化が生じると考えられる。ところが,これらにつきin vivoでの有効な計測法はほとんど知れれていない。 研究者は,良好な超音波造影効果の得られるsonicated 5% albuminの大動脈注入に伴う腎のエコー像の変化を、血管作動物質投与下および心不全状態下で、時間-エコー輝度曲線を指標として検討した。その結果,関心領域の輝度曲線はこれらの状況下において変化すること,その際,エコー輝度の上昇度,時間-エコー輝度下面積,造影剤の消失時間などが,腎血流量の増減と並行する指標たり得ることを明らかにした。 腎皮質表層と深層各々への影響についての比較では,acetylcholine腎動脈注入時には表層部に比し深層部で血流の増加が大であったのに対し,norepinephrine投与下では,表層,深層両部の変化に有意の差はみられなかった。 さらに研究者は,雑種成犬にて心不全状態を惹起せしめた時,表層部に比し,深層部においてエコー輝度の上昇度の低下が少ないという結果を得た。 これらイヌにおける基礎的検討に加え,研究者は本造影剤の末梢静脈からの注入によりヒトにおいても腎血流のカラードプラー信号が増強される現象を見出し,腎機能に応じて増強パターンが変化することを明らかにした。 超音波造影法は,腎血流評価法として今まで注目されることはなかったが,本研究において,局所腎循環の評価法として有用であることを明らかにした。今後,臨床的検討を中心として研究を推進する予定である。
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