Research Abstract |
体重200g前後のWistar系ラットを2群に分け、両群とも入荷後1週間は自由摂食とした摂食群はその後の1週間も自由摂食とした(F群、n=10).一方絶食群(S群、n=11)ははその後の1週間は水分のみを与え絶食とした.毎日一定時間に体重を測定し、2週間の飼育が終了した時点でF群の5匹とS群の6匹をエーテル麻酔下に大動脈採血にて犠死させ、血清総蛋白、血清アルブミン、プレアルブミン、レチノール結合蛋白、トリグリセライド、総コレステロールを測定した.残りのラット(F群、n=5;S群、n=5)を用いてペントバルビタール麻酔下に大腿筋群上の皮膚を剥離し、神経刺激装置により筋肉を150v,4rpsで5分間強制反復収縮させ骨格筋を疲労させた.燐核磁気共鳴スペクトロスコピーにてクレアチン燐酸(Pcr)/無機燐(Pi)の比率を測定しながらこの比率が前値に戻った時点で筋再び疲労させ、合計3回の筋疲労状態を作成した.【結果】血清総蛋白はF群で5.57±0.28g/dl、S群で5.02±0.30(p<0.01)、血清アルブミンはF群で3.93±0.15g/dl、F群で3.71±0.23g/dl(NS)、プレアルブミンはF群で3.46±1.78、S群で0.79±0.28(p<0.005)、レチノール結合蛋白はF群で2.5±1.0mg/dl、S群で0.55±0.25mg/dl(p<0.005)、トリグリセライドはF群で112.8±39.1、S群で34.1±14.9(p<0.01)、総コレステロールはF群で57.8±3.9mg/dl、S群で46.1±11.0mg/dl(p<0.01)であった.2週間の飼育終了時点での体重はF群の249.2±12.2gに対しS群では174.0±28.6g(p<0.01)であった.3回の筋疲労におけるPcr/Piの低下はF群では疲労前の55.1±9.8%,65.9±20.5%,78.0±17.3%であり、疲労回数を重ねるにつれて減少率が少なくなったのに対し、S群では37.6±9.7%,50.3±9.6%,45.8±5.4%とF群に比べて減少率も大きく、また疲労回数が多くなってもPcr/Piの減少率の回復は著明ではなかった.【まとめ】骨格筋を疲労させると全身のエネルギー基質が動員され骨格筋における高エネルギー燐酸化合物生成を旺盛にするというホメオスターシスが存在する.低栄養ラットではこのホメオスターシスが抑制された.現在低栄養ラットでの疲労骨格筋におけるクレアチン燐酸合成を促進する輸液を、グルコース、長鎖脂肪酸乳剤および中鎖脂肪乳剤について検討中である.
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