Research Abstract |
最近の重症熱傷による死亡の大半は以前のような循環不全によるものではなく受傷数週後の免疫不全による敗血症である。私は免疫能の改善を目的として、リンパ球をIL-2とともに培養したLAK細胞を癌患者に投与する方法に着目し、それを熱傷・感染症マウスに応用し検討した。C3H-Hejマウスに15-20%BSAの大きさの3度熱傷を9秒間蒸気を暴露することで作成する。24時間後、緑膿菌標準菌株ATCC27853を5x10^5を腹腔内に投与する。をれらを熱傷感染症群(B群)とし、さらにその24時間後.LAK細胞(2x105)を腹腔内に投与した群をLAK群とした。熱傷作成7日目にはBS群間にCoxMantelの検討で有意差が存在した(P<0.001)。同時のそれぞれ1x10^4個の細胞を測定した結果、正常マウスの脾臓細胞の37%はNK陽性細胞で熱傷・感染症で19%にまで減少した。この検討よりNK細胞が熱傷・感染症マウスの免疫能向上に影響を与えていることが考えられた。さらに炎症のパラメーターとしてIL-1、IL-6を測定した結果、B群のIL-1で45.9±17.4(pg/ml,n=6)、LAK群では4.23±2.27(pg/ml,n=6)まで有意に低下した。B群のIL-6は3866.3±1045(pg/ml,n=6)であったが、LAK群では437.8±110.4(pg/ml,n=6)まで減少した。LAK細胞が感染細胞との接触によって活性化され、種々のサイトカイン産生に影響を与え、その抗炎症作用により、マウスの生存率が向上したと考えられ、LAK療法はサイトカインを介して免疫能改善に有効な手段と考えられた。
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