Research Abstract |
(A)31-P MRS法によるエネルギー代謝測定を指標とするSMAO・再灌における小腸組織障害に対する各種薬剤の効果の検討: 1:Ca拮抗剤の効果について 6週齢Wistar系雄性ラットを用い上腸間膜動脈を30分間閉塞した後,再灌流した。verapamilの効果をA群:対照群(薬剤非投与群)(n=12),B群:verapamil(0.3mg/kg)虚血前投与群(n=12),C群:verapamil(0.3mg/kg)再灌流前10分時投与群(n=12)の3群に分け in vivoにて核磁気共鳴装置(分光器:日本電子製EX-90,超電動磁石:日立製2.1T)を用いエネルギー代謝の変動(beta-ATP,Pi,pH,etc.)を測定した。 虚血前値のbeta-ATP値を100%とすると虚血後30分ではA群:32.5±9.2%,B群:46.9±8.2%,C群:32.7±7.6%とB群において有意にbeta-ATPの低下が抑制された。再灌流後150分では、A群:51.4±14.0%,B群:71.3±14.9%,C群:71.1±9.2%とA群に比較しB群,C群で有意にbeta-ATPの回復が認められた。Pi,pHに関しても再灌流後の回復は良好であった。小腸虚血・再灌流障害に対しverapamilは虚血前および再灌流直前投与においても有効であった。その機序として,虚血時の強収縮の抑制,虚血・再灌流時のCa^<2+>の細胞内流入の抑制が示唆された。 2.アロプリノール、SODの効果について MRSの機械自体の調整期間もあり、実験が遅れており統計的集計が可能な例数に達していない。実験方法はCa拮抗剤の効果について検討と同様。2剤とも虚血前,再灌流直前投与の二つの方法をもちいたが虚血前投与において薬剤の有効性を認める傾向にあった。今後、例数の増加と他の薬剤に関してもその有効性の有無を検討し治療の基礎の確立を目指したい。 (B)組織pHメータによる,31-P MRS法で算出した組織pHと実際に測定した組織pHとの相関の検討: 虚血及び再灌流時腸管は強収縮を起こすため組織とpH電極との接触面の変動が大きいためか、測定結果がやや不安定であったが、傾向として各測定法によるpHに正の相関がみられた。 (C)ヒトにおける小腸スペクトルの測定による臨床応用の可能性の検討: MRSの機械自体の調整期間もあり、実験が遅れており統計的集計が可能な例数に達していない。本実験に先立ちラットを用い腹壁を除去せずに小腸のスペクトルの検出を試みているが、測定方法の確立には至っていない今後、さらに検討し人体への応用を目指したい。
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