Research Abstract |
collagenase(Sigma社,Type l)処理により作成したラ島を、糖尿病ラットの肝動脈内(肝動脈内移植群)と門脈内(門脈内移植群)に各5例ずつ移植しその生着を比較検討した。 門脈内移植群は諸家の報告(Kretschmer GJ,Sutherland DER,et al:Autotrans-plantation of pancreatic fragments to the portal vein and spleen of totally pancreatectomized dogs.Ann.Surg.,187,79-86,1978)の通り、全例肝臓内の門脈枝にラ島が生着し、正常の血糖値を維持することができ、糖負荷試験においてもほぼ正常に近いインスリン分秘能を得ることができた。しかしながら肝動脈内移植群では、移植後より高血糖が持続し、糖負荷試験でもインスリンの分秘はわずかに認めたものの糖尿病状態を脱する効果は、現在のところ1例も認めていない。 移植後の肝組織の組織学的検討でも、門脈内移植群では肝内門脈枝内にラ島の生着を確認でき、インスリン抗体による酵素抗体法(PAP法)でも陽性に認められた。肝動脈内移植群では肝内肝動脈枝内の生着は、現在のところ認められていない。 collagenase処理によるラ糖の作成法は門脈内移植群による生着より確立できたと考えており、今後は肝動脈内の投与法を、たとえばはじめに他の塞栓子を注入した後にラ糖を注入するなどの工夫を行い、肝動脈内に生着させる方法を模索中である。
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