Project/Area Number |
05770941
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Digestive surgery
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥山 耕一 順天堂大学, 医学部, 助手 (80204155)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本邦におる原発性肝硬変肝細胞癌は肝硬変を高率に合併するため、肝切除時の術中大量出血は術後の肝不全を惹起する危険性が高い。術中出血量を減少させることが手術侵襲の軽減につながるため、各種の肝阻血法が考案されている。我々はPringle法を応用した5分間隔の間歇的肝門部遮断を肝切除時のroutine techniqueとして施行している。この肝阻血法による肝血行動態・残肝機能への影響は未だ明確になっておらず、それらを解明する目的で本研究を計画し以下の知見を得た。 【結果】 1.動脈血中ケトン体比(AKBR)の変動 肝硬変合併例・非合併例ともに肝門部遮断時のAKBRは遮断前と比較し有意に減少を示したが、遮断解除時は遮断前と比較し低値を示すものの、AKBRの回復傾向を認めた。遮断終了10分後にはAKBRは遮断前値にまで回復し、遮断によるAKBRの低下は可逆的な変化であった。 2.肝血流の変動 レーザー血流計を用いて、遮断前後の非切除葉の肝血流を測定した。遮断終了10分後の肝血流は肝硬変合併例・非合併例ともに遮断前値と同じ血流量を示し、有意の低下は認めなかった。また、閉腹時の肝血流量も低下を認めず、肝門部遮断は肝血流量への影響は認めなかった。 3.Nafamostat mesilate投与によるIL-6の変動 IL-6は術後第3病日にpeakを示し、第7病日には肝切除前値に回復した。肝硬変の有無では有意差を認めなかった。間歇的肝門部遮断の有無においても統計学的有意差を認めなかったが、IL-6は術中出血量と正の相関を示し、遮断による出血量の減少が手術侵襲の軽減に寄与する可能性が示唆された。また、nafamostat mesilate投与群は非投与群と比較し、IL-6は低値を示す傾向であった。 [考察] 肝切除時の術中出血量の減少を目的とした5分間隔の間歇的肝門部遮断は残肝機能・肝血流に及ぼす影響を認めず、肝硬変合併例においても、臨床的に安全に施行し得る肝阻血法であると考えられた。また、nafamostat mesilate投与が手術侵襲を軽減する可能性が示唆された。
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