Research Abstract |
内分泌細胞性腫瘍を悪性度の低い古典的カルチノイド(以下CC)と悪性度の高い内分泌細胞癌(以下ECC)に分類するため、腫瘍細胞の核の形態計測を施行した。各症例をH-E染色し、それぞれ5箇所を強拡大で写真に取りコンピュタ-で解析した。長径はCC 7.13±1.037um,ECC 7.81±1.840umで短径はCC 5.20um, ECC 3.87umであった。長径・短径比ではCC 1.29±1.402, ECC 1.51±2.301で、核面積はそれぞれ平均3.20、4.09um^2 でECCの腫瘍細胞の核はCCに比べ大きく紡錘形化していた。核の周長から正円よりのかけ離れ率を算出した。CCは平均1.07、ECCは平均1.13で有意差を認め、ECCの核がいびつであることが明らかとなった。グリメリウス染色では全例に内分泌顆粒を認めた。フォンタナ・マッソン染色はごく一部で陽性であった。免疫組織化学染色(クロモグラニン、グルカゴン、ソマトスタチン、セロトニン等)を施行しCCとECCで生物学的特性に違いがないか調べたが特別な傾向は見られなかった。さらに尿中5HIAA、血中セロトニン、CEAを測定したが異常値を示すものは希であった。 核DNA量の測定ではCCでは全例がDiploidでECCではDiploidとAneuploidがみられた。今回の研究ではCC,ECC間に免疫組織化学では明かな差を認めなかったが、形態計測によって今まで雰囲気としては感じられていたECCの核の異形成を数値として明らかにすることができた。1993年10月14日インドの第4回アジア大腸直腸学会において内分泌細胞癌の存在について発表した。しかしいまだ症例が少なく形態計測だけでは一線を引くことはできていない。現在抗PCNA抗体を用いて、腫瘍の増殖様式について引続き研究中である。
|