Research Abstract |
1)神経上皮性腫瘍におけるニューロフィラメント蛋白の発現 神経上皮性腫瘍の手術標本ホルマリン固定切片をクエン酸バッファ内で95℃、25分間煮沸し抗原賦活し、ABC法によりニューロフィラメント(NF)の各サブタイプに対する単クローン性抗体を用いて免疫染色を行った。NFの発現はニューロン系腫瘍の分化度の指標となった。GlioblastomaにおいてNF陽性腫瘍細胞が存在し、この腫瘍が単にグリア系の細胞から構成されるだけでなく、より未熟な細胞を含んでいることを示唆した。 2)ENU誘発ラット脳腫瘍におけるネスチンmRNAの発現 ENUの経胎盤的投与によりラットに脳腫瘍を誘発させた。発生した腫瘍は形態学的にヒトの膠芽腫や未分化神経外胚葉性腫瘍に類似していた。摘出した腫瘍より凍結切片を作製し,、これにNFのcDNAおよびネスチンoligonucleotideをプローブとしてIn Situ Hybridizationを行い,NFとネスチンのmRNAを検出した。未分化神経外胚葉性腫瘍に類似した腫瘍だけでなくGFAPが陽性の膠芽腫にもネスチンとNFのmRNAが検出された。 3)ヒト膠芽腫培養細胞由来cDNAライブラリーの作製 Glioblastoma細胞株U251-MGよりmRNAを抽出し,これよりcDNAライブラリーを作製した。 4)単クローン性抗ヒトネスチン抗体の作製の試み ラットネスチンcDNAをexpression vectorを用いて大腸菌に導入しラットネスチン蛋白を産生せしめた。これを電気溶出法により抽出し精製した。得られた蛋白をマウスに免疫し,細胞融合法を行った。産生された単クローン性抗体はELISA法又はウェスタンブロット法により,大腸菌由来ネスチンに反応するものが選択された。
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