Project/Area Number |
05771089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Orthopaedic surgery
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中島 知隆 東海大学, 医学部・整形外科, 助手 (90227794)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 肩関節 / 腱板断裂 / 棘上筋腱 / インピンジメント / 組織酸素分圧 |
Research Abstract |
肩峰下インピンジメントの腱板、とくにCodmanの定義した‘critical portion'に対する影響を定量的に解析して腱板断裂ないし変性の発生メカニズムについて検討した。明らかな腱板断裂のないインピンジメント徴候を呈した手術症例(9肩、43-75歳、平均59.7歳)を対象とし、腱板付着部より2mm,7mm,12mm(critical portion)および17mm(筋腱移行部)の四点の滑液包側表面にプラスチック製圧力センサを設置した。また、血流測定用白金電極と組織内酸素分圧測定用電極を挿入した18G針を各点の深さ3mmと8mmまで刺入し、肩峰下接触圧分布とともに組織内血流量、酸素分圧を同時にモニタして、上肢の安静下垂時、他動的前方挙上(30〜180゚)および側方外転時(30〜90゚)における各パラメータの変化と相互の関連性を調べた肩峰下接触圧は安静下垂位〜60゚挙上、30゚外転位まで0であり、その後ほぼ直線的に上昇し140゚挙上、80゚外転位にてピークとなった。安静時、腱板表層の血流量は深層のそれに比べて約1.9倍で、両者は肩挙上、外転時に平行して減少し、90゚挙上、55゚外転位で安静時血流量の1/2、130゚挙上、75゚外転位にて0となった。肩峰下の接触圧と腱血流量の変化は密に相関し、付着部より12mmの表層部ではとくにその傾向が著しかった。一方、腱板酸素分圧は筋腱移行部で最高(243mmHg),critical portionで最低(127mmHg)であり、140゚挙上、80゚外転位において安静時の約1/2に低下した。腱板血流量は上肢を140゚挙上した直後に0になるのに対し、腱板酸素分圧の半減には約20分を要した。すなわち、腱板のなかでもcritical portionにおける易損性は肩峰下インピンジメントによる虚血ではなく、比較的長時間にわたる低酸素状態が腱細胞の軟骨化生を促してその弾性を低下させることに起因すると考えられる。今後、腱組織における酸素代謝がいかに腱変性に関与しているか、について実験モデルを作成してin vitroに検証する予定である。
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