Research Abstract |
視細胞間レチノイド結合蛋白(IRBP)は実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)を惹起することができる.本研究ではIRBP由来の合成ペプチドR16(1177-1191)が,異なるラットの主要組織適合抗原(RT1;MHC in rat)を有する複数のラットLEW(RT1^l)、WKAH(RT1^k),SDJ(RT1^u),TO(RT1^u),LEJ(RT1^j),BUF(RT1^b)のなかで,LEW,WKAH,LEJ,BUFにEAUを発症できることを明らかにした.EAUを発症したラットは,RT1のclassII抗原にそれぞれH^lB^lD^l,H^kB^kD^k,H^<u/b>B^bD^b,H^bB^bD^bを有している.従って,エピトープ(T細胞レセプター結合部位)が一つしかないと考えられるような小さな合成ププチドR16は,複数の異なるclassII分子に結合してEAUを惹起するものと考えられた.一方,IRBP免疫によるEAUは,SDJで発症したがTOでは発症しなかった.同じRT1抗原を持つにもかかわらず,EAU感受性が異なるのは,non-MHCgeneの影響が大きいと考えられる.これに対して,他の眼特異抗原(S-Antigen)を用い,LEW,WKAHとそのF_1,F_2でEAUを検討したところ,単一の遺伝子領域に存在するgeneの関与の可能性が明かとなった.また,R16を免疫の前に静脈内投与すると,EAUの発症のみでなく免疫反応を強く抑制できることも明らかとなった.しかもこの抑制は,投与量依存性であることが判明した.今後は、このような病気や免疫の抑制が,EAUを発症する他のラット系統でも可能かどうかを検討したい.
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