Research Abstract |
研究目標を「LPS由来の活性酸素ラジカルによる酵素機能障害の解明」に集約化した行われた実験の結果は以下のとおりである。 Escherichia coli由来LPSは雑種成犬心筋形質膜のNa^+,K^+-ATPase活性を濃度依存的(0〜1.0mg/ml)に抑制した。hydroxyl radical(OH)スカベンジャーであるdimethyl sulfoxide(150mM),dimethyl thiourea(30mM)はLPSのNa^+,K^+-ATPase活性に対する効果を抑制した。また,LPS自身の構造中よりOHが発生されることをDMPOをトラップ剤とした電子磁気共鳴(ESR)法を用いて同定し,口腔内細菌由来LPSにおいてもOH発生を確認できた。したがって,OHの直接的な酵素活性に及ぼす影響を検討した。OH産生系(0.66mMdihydrofumarate+2.2 muMFeCI_3+80 muMADP)はNa^+,K^+-ATPase活性を抑制し,superoxide dismutase(15 mug/ml),desferrioxamine(1mM)はこの効果を防御した。またOH産生系(0〜30mMH_2O_2+0.2mMFeSO_4)は雑種成犬咬筋小胞体のCa^<2+>,Mg^<2+>-ATPase活性を抑制した。catalase(10mug/ml),dimethylsulfoxide(150mM),dimethylthiourea(1mM)はOHのCa^<2+>,Mg^<2+>-ATPase活性に対する効果を抑制し,ESR法により得られたOHの信号強度に対しても抑制的に作用した。SH化合物であるcysteine(1mM)とthiolプロテクターであるdithiothreitol(0.1mM)はOHのCa^<2+>,Mg^<2+>-ATPase活性に対する効果を回復させた。 以上の結果からLPSの酵素機能障害作用機構にLPS自身の構造中より発生するOHが関与していることが確認され,その抑制機構にOHと酵素蛋白分子SH基の相互作用が関与していることが示唆された。
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