Research Abstract |
本研究計画に基づき,Porphyromonas gingivalis(Pg)由来の線維芽細胞活性化因子(FAF)の精製および同因子の骨吸収に与える影響について検討をくわえたところ,以下の結果を得た. 1. Miharaらの方法(Mihara et al.1993,Infect.Immun.61(2)p.588-595)に従い,嫌気条件下で培養したPg培養上清(20L)より外膜小胞を分離ののち,FAFの精製を行ったところ,60mg proteinの精製FAFを得た. 2. この精製FAFの骨吸収に及ぼす影響を,ラット長管骨を用いたin vitro骨吸収実験系で検討した.実験に際しては,あらかじめ[^<45>Ca]でラベルしたラット長管骨をin vitroでFAF存在下で培養し,培養後の上清中に遊離した放射活性を指標に検討した.その結果,1.5mug/mlのFAF存在下で,コントロールにくらべて有意に高い放射活性を認めた.即ち,FAFがこの濃度で,骨吸収を高める作用を有することがわかった. 3. さらに,マウス骨髄細胞培養系にFAFを添加し,同因子の破骨細胞への分化誘導能を検討した.その結果,10^<-8>Mの1,25VitaminD_3存在下で,FAF添加により破骨細胞の指標であるTRAP陽性細胞の有意な増加が認められた. 以上の結果より,Pg由来の線維芽細胞活性化因子が,骨吸収にも作用することが明かとなった.
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