Research Abstract |
本研究では,培養歯髄細胞を,口腔細菌由来のLSPを初めとする種々の標品で刺激して,各種炎症性サイトカインの誘導を調べた. 1)矯正学的理由で抜歯された智歯の歯髄細胞(6-10継代)をalpha-MEM(10%FCS含有)で培養し,confluentに達してから各種LPS,リピドAならびにサイトカイン等で刺激した. 2)培養細胞の全RNAを抽出し,Northern blot法によりIL-1alphamRNAおよびIL-8mRNAの発現を調べた. 3)培養上清中のIL-6活性およびTNF活性を,B9細胞およびL929細胞を供試して測定した. その結果,歯髄細胞培養系でも,B.i.LPSの刺激によるIL-8ならびにIL-1alphamRNAの発現誘導が認められたが,Tamura(1992)らの報告した歯肉線維芽細胞培養系での成績と若干の相違がみられた.すなわち,歯髄細胞では歯肉線維芽細胞に比べてB.i.LPSのかなり低い濃度にも反応しており,またその発現時間も早かった.さらに,歯髄細胞はS.abortus-equiLPSに対しても応答した.これは,歯髄細胞が外来の細菌由来の炎症刺激に対して歯肉線維芽細胞より感受性が高いことを示唆している.今後さらに,他の炎症性サイトカインについても詳細な検討を進めて,歯髄細胞を巡るサイトカインの動態を明らかにしたいと考えている.
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