Research Abstract |
今回,咬合音の周波数成分のうち,歯周組織を振動系とした共振周波数成分の検討を行うにあたり,フィルタを2つ用いたバンドパスのシステムを構築した.まずフィルタをスルーさせたオリジナル波形について咬合接触の様相の違いにおける波形の変化について高周波波形の変化との比較検討を行った.実験は干渉装置により左右側の接触時間差に変化を与え,その時の干渉装置における衝撃波とオリジナル波形と高周波波形の従来の診断指標を用いて検討した.その結果,以下の結論を得た. 1.左右側が同時に咬合接触した場合の咬合音の波形パターンは,オリジナル波形ではImpact波形が認められ,高周波波形では一つの波形が認められた.また左右側の咬合接触時期に差を生じさせた場合では,オリジナル波形では波形パターンに変化は認められなかったが,高周波波形では二つの波形が認められ,変化が認められた. 2.左右差が同時に咬合接触した場合の咬合音の持続時間はオリジナル波形では5.563〜12.236msecであり咬合接触時期に差を生じさせた場合,持続時間は延長した.高周波波形では1.201〜1.854msecと短かった. 3.咬合接触時期に差を生じさせた場合,咬合接触時期の時間差とオリジナル波形の持続時間の間には相関係数0.340の低い相関しか認められず,一方,高周波波形の二つの波形の間の時間との間には相関係数0.999と高い相関が認められた.しかし,オリジナル波形についても,被験者個人個人で見れば相関係数0.730〜0.946の高い相関を認めた. 4.周波数解析においてオリジナル波形においては低周波成分におけるパワースペクトルにばらつきが認められたが,高周波波形においてはばらつきが認められなかった. 以上のことから,今後,歯周組織の共振振動数の帯域を再度見直しし,帯域の限定を行う予定である.
|