Project/Area Number |
05771710
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
補綴理工系歯学
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (70168821)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 金銀パラジウム合金 / 分極曲線 / X線光電子分光法 / 硫化物皮膜 / 不動態 |
Research Abstract |
硫化物が微量存在する口腔内で腐食、変色しない金銀パラジウム合金の組成を検討するために、Au並びにPd含有量を種々に変えた14種類の実験合金(Ag-18Cu-10〜45Pd-0〜30Au)を作製し、硫化物溶液中で電気化学的手法を用いて耐食性を評価した。特に、合金の組成及び組織、並びに表面に生成する硫化物皮膜の構造と耐食性の関係について詳細に検討を加えた。腐食液には0.1% Na_2S溶液を用い、アルゴンガスで脱気した溶液中で動電位法にて分極曲線を測定し、各合金の腐食挙動を調べた。合金表面に生成した硫化物皮膜は、X線光電子分析装置(ESCA)を用いて分析した。 アノード分極曲線には、-520mVと-425mVに電流ピークが認められ、それぞれAg-rich相及びCu-rich相の腐食に起因することが明らかとなった。Au、Pdともに、二つのピーク電流値を減少させ、耐食性の向上に寄与した。しかし、Pdの方がAuと比較して、より効果的に耐食性を向上させた。特に、Pdを45%含有するAg-45Pd-18Cu-12Au合金では、鋳造状態でPd-rich単相となり、分極曲線上でAg-rich相及びCu-rich相に起因する電流ピークが消失し、0.1% Na_2S溶液中における腐食、変色は実用上無視できることが明らかとなった。本合金を0.1% Na_2S溶液に自然浸漬した後に、ESCAで分析したところ、表面に1nm程度の薄いPd-richな硫化物皮膜が形成されていた。この皮膜は保護性があり、合金は硫化物溶液中で不動態化するため腐食しないものと考えられる。この点において、PdがAu-Pd-Cu-Au合金の耐食性を向上させる機構は、単に合金のnobilityを上げるAuとは根本的に異なるものと考えられる。結論として、金銀パラジウム合金の耐食性及び耐変色性向上には、AuよりもPdの増量が有効であり、Pdを45%以上含有することにより、腐食、変色を完全に抑制できることが明らかとなった。
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