Research Abstract |
低発熱型リライニング用レジン3種(TR,CT,KL)の理工学的性質を従来型のリライニング用常温重合レジン(RR)と比較検討した.表面粗さは,各レジンとも浸漬前および経時的な変化はあまり認められなかった.色調変化は,浸漬41週後にTR,CTおよびRRはわずかに上昇する程度であったが、KLは他のレジンより大きく変化した.表面硬度は,RRと比較して,CTが大きく,TRが同程度の値を示し,KLはかなり小さな値を示した.吸水量はRRと比較仕手、CTが大きく,TRおよびKLが小さな値を示した.細部再現性はKLが最も良好であり,TR,RR,CTの順に低下した.内部気泡は,面積0.125mm^2以上の気泡の分布には大きな差はなかったが,0.125mm^2以下の比較的小さな気泡がRRに多く認められ,CT,TR,KLの順に減少した.初期流動性はKLが最も高く,TRとCTが同程度であり,RRが最も低かった.経時的な流動性の減少傾向は,37℃環境下ではTR,CTおよびRRとも類似していたが,KLは減少傾向が最も緩慢であった.22℃環境下では37℃と比較してTRおよびRRの流動性の減少傾向が緩やかになったが,CTおよびKLでは環境温度の影響を受けにくかった,重合時の最高温度は,37℃および22℃環境下とも試料の厚みが増加するのに比例して上昇した.37℃環境下では,いずれの厚みでも従来型のRRが最も最高温度が高く,低発熱型は3種はRRより低く,CT,TR,KLの順にに低下し,試料の厚みが増加するに従って,RRとの温度差が増加した.これに対し,22℃環境下では,37℃と比較していずれのレジンも最高温度が低く,試料の厚みあるいはレジンの違いによる最高温度の差が少なかった.張り合わせ曲げ強度はCTが最も高く,TR,RR,KLの順に低下し,各レジンとも経時的にわずかに低下した.床用レジンとの接着強度はCTで最も高く,RR,TR,KLの順に低下し,経時的な接着強度の低下はあまり認められなかった.さらに,気泡数と初期流動性,細部再現性と初期流動性,流動性の消失と温度変化の間には関連が認められた.以上のことより,低発熱型は,重合時に患者に与える温度刺激が抑制し,臨床応用上有効であると考えられた.
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