Research Abstract |
リン酸4カルシウム・リン酸カルシウム2水和物の等モル混合物と,クエン酸水溶液による硬化体の結合織系細胞と上皮系細胞に及ぼす影響を検討した. 被検試料は上記のクエン酸濃度20,30,40%と,それぞれにゼラチン5%を添加したものの計6種類と,高結晶ハイドロキシアパタイト(HAP),リン酸3カルシウム(TCP),ネガティブなコントロールとしてシリコンラバー,ポジティブなコントロールとして酸化亜鉛の計10種類とした.使用細胞は骨芽細胞由来のROS17/2細胞と,線維芽細胞由来のL細胞の2種とした. 方法は,まず被検試料を培養液中に24時間静置し抽出をおこない,その培養液中に上記の細胞を播種,その後24時間静置培養をおこなった.24時間後NR染色法による測定をおこなった.測定値は,各被検思試料について8枚のプレートを作製し,測定した値の最大値と最小値を棄却した残りの6値の平均値とした. ROS17/2細胞では40%クエン酸水溶液での硬化体のみが酸化亜鉛と同等の細胞毒性を示す測定値を示したが,それ以下のクエン酸濃度,あるいはゼラチンを添加により,測定値はシリコンラバーや高結晶HAP,TCPと同等の値を示した.L細胞では40%クエン酸水溶液での硬化体がゼラチンの有無にかかわらず酸化亜鉛と同等な細胞毒性を示した.以上の結果から本硬化体は硬化液のクエン酸濃度が30%以下では毒性は認められないこと,またゼラチンの添加によって測定値はやや高い値を示し細胞毒性抑制する効果のあることが明らかになった. 現在は,動的な条件による細胞毒性の測定と,さらに骨芽細胞にどのような影響を及ぼすかについての検定を引き続きおこなっている.
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