口腔扁平上皮癌における癌抑制遺伝子産物の免疫組織学的研究
Project/Area Number |
05771777
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Surgical dentistry
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
山本 学 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40230544)
|
Project Period (FY) |
1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | PCNA / P53遺伝子 / 口腔扁平上皮癌 |
Research Abstract |
癌は制御不能な過剰細胞増殖の結果生じ、浸潤、転移により宿主を死にいたらしめる疾病である。近年、細胞遺伝学や分子生物学の進歩と共にこれら腫瘍細胞の増殖能の客観的評価や、癌発生に関与する癌遺伝子および癌抑制遺伝子の影響が種々の組織にて報告されてきている。しかし口腔領域における研究はまだ十分でない。そこで今回、口腔扁平上皮癌56例のパラフィン切片を用い、抗PCNAモノクローナル抗体により腫瘍の進展に伴う癌抑制遺伝子P53の異常発現を免疫組織細胞増殖動態を明らかにした上で、抗P53モノクローナル抗体により化学的に検討した。治療前の生検標本を10%ホルマリン固定し、パラフィン包埋し、ストレプトアビジンパーオキシダーゼ複合法により免疫組織化学的染色を行った。一次抗体として抗ヒトPCNAまうすモノクローナル抗体(PC10)および抗ヒトP53モノクローナル抗体(DO7)を用いた。その結果を臨床病理組織像と比較し次の結果を得た。(1)56例のPCNA陽性細胞率の平均±標準偏差は32.4±9.8%であった。(2)PCNA陽性細胞率は高進展症例や高異型症例において高値を示した。(3)組織分化度および間質への浸潤様式とPCNA陽性率との間には一定の関係を示さなかった。(4)56例の75%において変異型P53の発現を示した。(5)高進展症例および低分化症例において変異型P53の平均陽性率は高くなる傾向を示した。(6)組織異型度および間質への浸潤様式と変質型P53の陽性の間には一定の関係を示さなかった。PCNA陽性率が高くなるほど変質型P53陽性率が高くなる傾向を示した。以上の結果より、口腔扁平上皮癌においてもPCNA陽性率がその腫瘍細胞の潜在的増殖能を示し、また変異型P53が細胞の不死化遺伝子として作用するとの報告を裏付けるものとも考えられる。さらにこれら腫瘍のもつ性格を免疫組織化学的方法により評価することがより良好な治療の選択や予後の評価につながるものと考えられる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)