Research Abstract |
タンパク分解酵素灌流法により、モルモット肝から分離肝細胞を作製した。分離肝細胞浮遊液にFura-2AMを負荷したのち、蛍光強度比により、細胞内Ca^<2+>濃度を測定した。イソルフレンは1,3,5,10MACに相当する量を注入した。また、トリパンブルー染色を肝細胞分離後、Fura-2AM負荷後,イソフルレン注入後に行ない、肝細胞の生存率を評価した。 その結果、(1)静止期肝細胞内Ca^<2+>濃度は約180nMであり、細胞生存率は84.3%であった。(2)細胞内Ca^<2+>濃度は1および3MACイソフルレン添加ではほとんど増加せず、5および10MACイソフルレンでは濃度依存性に増加した。(3)肝細胞生存率はイソフルレン濃度依存性に低下した。 つまり、低濃度イソフルレンでは肝傷害はほとんど生じないが、高濃度イソフレンでは細胞内Ca^<2+>濃度は上昇と細胞生存率の低下には相関関係がみられ、低濃度イソフルレンと比較して肝傷害の大きいことが明らかになった。 しかし、その原因については、小胞体のCa^<2+>ポンプの機能障害によるとする意見や、肝細胞膜の傷害により細胞外からCa^<2+>が流入するという意見などがあり、現在のところ明確な機序は明らかではない。従って、今後は細胞膜のCaチャンネルや小胞体の脂質過酸化などの面からも検討を行ないたい。
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