Research Abstract |
【目的】活性型ビタミンD_3〔1,25(OH)_2D_3〕の血中レベルは、ビタミンD代謝異常を伴う各種疾患の診断指標として重要である。従来その測定は、主にニワトリ小腸あるいは受精卵十二指腸レセプターを用いるラジオレセプターアッセイ(RRA)により行われてきた。しかし、HPLCを含む多段階のクリーンアップ操作が不可欠で検体処理能力に難がある。この問題を解決するために、"タンデム"イムノアフィニティークロマトグラフィー(IAC)を新規な前処理法として開発し、そのヒト血漿RRAにおける有用性を検討した。 【実験・結果】11alpha-Hemiglutaryloxy-25(OH)D_3(1)又は25(OH)D_33-hemisuccinate(2)をハプテンとして得られた抗体を不溶化し,選択性の異なるイムノカラム2種(1及び2)を調製した。ヒト血漿のエーテル抽出物をカラム1にアプライし,25%MeCN溶出画分をカラム2に適用した。20%アセトンで洗浄後,95%MeOHで吸着物を溶出し,本画分における1,25(OH)_2D_3,D_3,25(OH)D_3,24,25(OH)_2D_3の回収率を求めた。その結果,それぞれ68,0.6,2.6,1.1%の値が得られ,本IACが十分な選択性を有することが示された。そこで,健常人血漿を本IACで前処理したのち十二指腸レセプターを用いるRRAに付したところ,従来の報告と符合する値(33.5±8.9pg/ml)が得られた。また,添加回収,段階希釈などの試験結果も良好で,本IAC/RRA法の信頼性が確認された。さらに,慢性腎不全患者血漿についても良好な測定値が得られ,本症の鑑別診断に有用なことが確認された。 【考察】今回開発した"タンデム"IACの導入により,HPLCの不必要な1,25(0H)_2D_3のRRAを開発することができた。本IACは精製効率と検体処理能力に優れ,RIA,GC-MSによる1,25(0H)_2D_3分析法の開発にも有用と期待される。
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