Research Abstract |
1.申請者らが以前に開発したDの定量法により食品中のDを定量し,数多くの食品中のDの含有量を明らかにした。その結果,Dはある種の魚類ときのこ類にかなり多く含まれていたが,肉類,乳類,卵類中の含有量はあまり多くなかった。また、その他の食品中には殆ど含まれていなかった。 2.世代別および男女別にモデル献立を作成し,(1)の分析値から1日当たりのD摂取量を算出した。その結果,男性の1日当たりのD摂取量は青年の場合平均184IU,壮年の場合平均272IU,高齢者の場合平均723IUであり,いずれも厚生省が推奨する栄養所要量を満たしていることがわかった。女性は男性に比べ,概して低かった。また,D摂取量に寄与する魚類の貢献度が大きいことがわかったが,若い人に魚離れの傾向が見られ,若い世代ほどD摂取量が減少する傾向が認められた。 3.高齢者と若壮年者の健常人男女についての血漿中のDおよび代謝物濃度を測定し,Dの栄養状態を調べた。その結果,Dの栄養診断の指標となる血漿中25-OH-D濃度は,高齢者の方が若壮年者より有意に低かった。血漿中1,25(OH)2D濃度は高齢者,特に女性が若壮年者より低かった。さらに,現代日本人についてDの潜在性欠乏症(血漿中25-OH-D濃度が10ng/ml以下)の割合を調べたところ,若壮年者の場合男女とも認められなかったが,高齢者の場合特に女性で潜在性欠乏症と思われる人がかなり見られた。 4.健常人男女において,食事性D摂取量の調査と血漿中のD代謝物濃度の測定を同時平行して行い,D摂取量とD栄養状態との関係を調べた。その結果,D摂取量と血漿中25-OH-D濃度との間には有意な相関関係が認められ,充分量のD摂取がDの栄養状態を改善し,ひいては骨粗鬆症の予防になりうることを示した。 5.新規D誘導体の2beta-(3-Hydroxypropoxy)-1alpha,25-dihydroxy-vitamin D3の骨粗鬆症治療薬としての有用性を実験的骨粗鬆症ラットを用いて検討したところ,本化合物が有効な骨粗鬆症治療薬となりうることを実験的に証明した。
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