Research Abstract |
外来通院患者705名に対して,ストレッサー,コーピング,心理的ストレス症状,コンプライアンスを測定する尺度などを含む『外来通院患者に対する医療心理学的実態調査』と題した調査を施行した。分析が可能であったのは,7つの除外基準をクリアした有効分で,560名(79.4%)であった。 ストレッサー項目30項目のうち,23項目について因子分析(主因子解法により抽出,斜交回転)を行なった。4つの因子が抽出され,これらの因子により全共通分散の42.6%が説明されていた。各因子は,「診断と治療」「医師との軋轢」「説明やインフォームド・コンセントの不足」「医療環境的負荷」を表わすものと解釈され,下位尺度として信頼性係数alphaが算出された。各下位尺度のalpha係数は,alpha=0.652(6項目),0.803(5項目),0.679(5項目),0.594(7項目)であった。ストレッサー尺度は,これら4つと「身体的苦痛」の計5つを下位尺度とした。 コーピングについては,8通りのコーピング・パターンを設定し,それぞれの出現率をストレッサーのカテゴリー毎に算出した結果,「身体的苦痛」では,「受容」が32%,「要請・努力」が31%,「診療と治療」では,「受容」が44%,「受容」+「要請・努力」が28%,「医師との軋轢」では,「受容」が35%,「要請・努力」が22%,「説明やインフォームド・コンセントの不足」では,「受容」が41%,「医療環境的負荷」では,「受容」が59%,「受容」+「要請・努力」が22%となった。 外来通院患者におけるストレッサーと問題行動との関係を重回帰分析(説明変数:ストレッサー尺度の5つの下位尺度得点,従属変数:4つの問題行動の有無得点)を用いて分析したところ,「服薬拒否」は「説明やインフォームド・コンセントの不足」と「医療環境的負荷」によって,「制限拒否」は「診療と治療」によって,「他病院受診」は「身体的苦痛」と「医師との軋轢」によって説明されていた。
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