Research Abstract |
ガラクトシアリドーシスは保護蛋白(protective protein)の異常により発症する常染色体劣性遺伝病であり,本症患者においては,臨床的に多様性が存在する。患者間の臨床症常の差異のメカニズムを明らかにするためには,本疾患のモデル動物を作成することは重要である。標的遺伝子組み変え法により,モデルマウスを作成するためには,マウスゲノムDNAの情報が不可欠である。そこで,本研究では,マウスの保護蛋白ゲノムDNAをクローニングすることを目的とした。 近年 標的遺伝子組み換え法でのモデルマウス作成が効率よく行なえるES細胞(embryonic stem cell)として,TT2細胞がよく用いられている。そこで,このTT2細胞のゲノムDNAライブラリーを入手しスクリーニングを行った。プライマーとして,MPP1,MPP2(マウス保護タンパクcDNA 267〜296nt,841〜870nt相当)オリゴヌクレオチドを合成し,用いた。その結果 このゲノムライブラリーより,制限酵素EcoRIで解析した結果約2kbと4kbの陽性DNAフラグメントを含むLAMDA FIXIIクローンが得られた。そこで それぞれの陽性EcoRIフラグメントをpVC18ベクターにサブクローニングにし,シークエンスを行なった。現在,このフラグメントを約800bp塩基配列を決定したところであるが,また マウスcDNAとホモロジーのあるエクソン部分までは到達していない。 今後,マウス保護タンパク遺伝子の5'端を含む3〜5kbのゲノムDNAをクローニングし,本遺伝子のブロモーター下流領域にネオマイシン耐性遺伝子を導入したコンストラクトを作成し,TT2細胞への標的遺伝子組み換えを試みる予定である。
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