Research Abstract |
培養液としてラット血清を必要とするラット全胚培養系において,基本培養液としてウサギ血清を用いて,分画したラット血清の胚発育促進活性を調べ,培養胚の発育に必要な血清高分子の精製を行なった.本研究ではこれまでに,ウサギ血清はラット培養胚の発育に必要な高分子を欠いていることを明らかにし,ラット血清からこの高分子を塩析およびゲル濾過により部分精製した.今年度は,調製用超遠心分離,塩析およびゲル濾過により分画したラット血清を,さらに調製用液体等電点電気泳動またはイオン交換クロマトグラフィーおよび調製用ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分画し,各分画の胚発育促進活性を調べ,精製を進めた. その結果,各分画における含有量が胚発育促進活性に比例する成分をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動分析により同定することができた.この成分は,等電点5-6の分画に認められ,非還元状態で22万,還元状態で11万の分子量を示した.また,アフィニティカラムを用いて分析した結果,コンカナバリンA には結合したが,ヘパリンには結合しなかった.さらに,胚発育促進活性の安全性について,イオン交換クロマトグラフィーにより得られた分画について調べたところ,63℃・30分の加熱では失活しなかったが,100℃3 分の加熱またはpH2の酸処理で失活した.これらの結果から,この血清高分子は,分子量 22万,等電点5-6の糖蛋白質であり,分子量11万のポリペプチド鎖がジスルフィド結合したホモダイマー構造を有すると考えられた.
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