Research Abstract |
1.FU-MK-1抗体の認識する抗原の生化学的・免疫学的解析 種々のヒト樹立癌細胞FU-GC-16、MKN-74(胃癌)、QGP-1(膵癌)、HLC-1(肺癌)、CCK-81(結腸癌)、HepG2(肝細胞癌)を^<35>S-Met下で培養し、FU-MK-1抗体で免疫沈降反応後、SDS-PAGEを行ったところ、HepG2以外のCell lysateで約4lkDaに強いbandを得た。またtunicamycin処理で分子量が約35kDaに減少することにより、N-結合型糖鎖が2〜3本存在すると考えられた。免疫組織化学的には、胃正常粘膜と反応せず、ほとんどの消化管癌に反応すること、さらに正常肝細胞と肝細胞癌とは反応しないことが既に報告されている。以上より、FU-MK-1抗体の認識する抗原が既報の癌関連抗原GA733-2であると推測された。この抗原は、単クローン抗体CO17-1Aが認識する抗原で、ほとんどの消化管癌に高く存在し、分子量約40kDaの細胞膜上の糖蛋白であり、既にmolecular cloningされ、314個のアミノ酸を持ち、可能なN-結合型糖鎖部位を3ケ所有する膜貫通型蛋白であると推定された(Szala,S.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA87,3542-3546,1990)。また、すでに報告された腺癌関連抗原KSAや上皮糖蛋白抗原EGPとも同一であった(Simon,B.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA87,2755-2759,1990)。 2.FU-MK-1抗体と癌関連抗原GA733-2との反応性 GA733-2の塩基配列を基に、coding regionをはさむ2つのoligonucleotide primerを合成し、QGP-1 poly(A)^+RNAを用いてRT-PCRを行ない、約1kbpの増幅bandを得た。塩基配列を確認後、このcDNAを発現vector pSG5に挿入し、COS-1細胞にtransfectionした。発現蛋白GA733-2とFU-MK-1抗体の反応性の解析は上記1と同様に行ない、約41kDaにbandを認めた。これによりFU-MK-1抗体の認識する抗原がGA733-2であると確認された。 3.今後の研究計画 FU-MK-1抗体が認識する抗原エピトープの解析とGA733 gene familyであるGA733-1抗原との反応性の解析を行なう。
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