Project/Area Number |
05780038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
科学技術史(含科学社会学・科学技術基礎論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 毅彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (90237941)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 科学史 / 技術史 / 航空工学 |
Research Abstract |
今年度は主として、第一次大戦前後における欧米の航空工学の発達におけるグラフなど視覚的表現の果たした意義の分析と、日本の航空工学史の一次史料の基礎調査を遂行した。 1.第一次大戦前後の航空工学者たちは、図やグラフを非常に多用している。特にグラフは、風洞実験データなどの表示だけでなく、複雑な空気力学や構造力学の計算法としても利用された。このようなグラフの利用のされ方を、イギリス・フランス・アメリカの航空技術者の間で比較しながら調査分析した。いずれの国においても、飛行機の設計製作をする技術者にとっては、グラフは数量データを表現・処理するための言語のようなものになっていること、科学者・応用数学者の出した理論的分析結果を彼らに利用してもらうには、グラフの言葉で表現し直さなければならなかったこと、がさまざまな事例から明らかになった。例えばイギリスの応用数学者は飛行機の安定性に関して高次方程式を導出したが、この力学理論を現場の技術者にも利用してもらうために、4次方程式のグラフ的解法が工夫され活用された。また数量データの表現や処理ばかりでなく、基本的な物理概念の理解に対しても、模式図などの視覚的表現を使用した説明様式が必要とされた。例えばドイツで発達した空気力学理論の基本的概念を理解するために、イギリス人科学者・技術者はそのような視覚的表現を必要とした。 以上の研究成果は、“Graphical Calculation and Early Aeronautical Engineers"というタイトルで論文として発表した。 2.最初期から終戦に至るまでの日本の航空工学の歴史を研究するための予備作業として、公文書館、防衛研究所戦史資料室、運輸省船舶技術研究所図書室など東京周辺に所蔵されている一次史料を調査した。今後はこの史料をもとにして、日本における航空工学の発達と関連技術分野との影響関係を研究することが、課題である。
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