Research Abstract |
筆者は、水泳の飛び込みによる頭部衝突を模擬するため、多くは鉄球を用いてその衝撃力や衝撃加速度を計測してきた。人体頭部に衝撃が作用する際は、硬い頭蓋骨と、それに内包する脳などの軟組織からなる構造体を考える必要がある。これについては、柔道における畳と頭部の衝突などで前例があるが、本研究の性質上、水中じ実施する必要があるため、防水加工が必須となる。しかし、適当な材料の選定,組み立て,防水加工,センサ装着が技術的に困難であり、新たな装置を開発するまでには至らなかった。従って旧来の鉄球を用いて.再度.落下試験を実施し,その衝撃波形を記録し,これを基に衝突事故の危険性を評価した。これによると,最大100G,作用時間0.02秒程度の加速度衝撃波形では、米国自動車安全基準NO.208,頭部障害基準値(HIC)について、HIC<1000であり,頭蓋骨に線状骨折の生じる限界には至らないことがわかった。飛び込み衝突事故の多くは頚椎損傷が主な障害となる事例が多いことから,頚椎に対する負荷の程度をとらえてその危険性を評価する必要性が示唆される。
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