Research Abstract |
「言語能力」のうち,「作文能力」に限定して,評価する方法を検討した.「作文能力」の測定は,方法論的に困難な課題を抱えている.そのひとつは「作文能力」を測定する「課題」の問題である.基礎的言語能力や課題内容への親和性,特定の知識等に依存しない課題を実施することが必要である.もうひとつは採点者の問題である.未熟な採点者の評価は信頼性が低い. 以上の困難を可能な限り困難を克服するために純粋に作文能力を抽出する「課題」を検討,絵を見て子ども向けのストーリーを考える課題を与えて学力の高い中学生・高校生約140名に作文を書かせた.また,高い信頼性を確保するために作文の評価に熟練した7名(主に高校の国語教師)の独立な採点者を確保した.さらに,作文能力への影響を見るため,基礎的な言語能力を測定する2種類のテスト,日常生活や読書習慣などについてのアンケートを実施した. その結果,7名の採点者は作文に一貫した評価を下すことが分かった.さらに,7名の意見も大きく別れることはなく,十分な信頼性を確保することに成功した.また,基礎的言語能力は作文の出来にはあまり影響せず,むしろ,文章を書くことへの興味・関心が重要なことも分かった.
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