社会科授業コミュニケーションにおける異種的思考の組織過程の分析
Project/Area Number |
05780187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教科教育
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山住 勝広 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (50243283)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 社会科授業 / 授業研究 / 授業コミュニケーション / 思考発達 / 社会文化的セッティング / 活動理論 / 言語的思考の異種性 / 対話的意味空間 |
Research Abstract |
本研究では、社会科授業での認識課題を解決するときに発生する思考の諸タイプを「思考の異種性(異種的思考)」という概念でとらえ、子供の思考発達がそうした「異種的思考のコミュニケーション=交換」によって生起していく様相を分析してきた。その結果、「教科教育の社会文化的活動理論」を構成しうる以下のような知見がえられた。 1.子供の思考行為は、言語などの文化的・制度的ツールに媒介されたものであり、「思考の異種性」は言語使用(発話や談話の様式)の特有性と根本的に結びついている。社会科授業における社会問題の談話では、次のような二つの談話様式がありうる。(a)子供自身の生活の個性的な文脈から社会問題を直接的・経験的に論じる様式、(b)社会科学的概念の観点から社会問題を一般的に説明しようとする様式。2.授業における「異種的思考」の組織過程では、個々の子供の思考過程の発生と変容は、共同参加者の間での「意味論的内容」や「パースペクティヴ」の差異によって媒介されている。授業が「対話的」な意味空間をつくり出している場合、個々の子供の思考は、意味を生成する相互交渉的なコミュニケーションの連鎖の中で生起してくる。3.社会科授業は、「異種的思考の応答的なネットワーク」による意味生成であると同時に、「科学的・理論的思考」という特定の思考形式の「特権化」の過程と見なすこともできる。この点へのアプローチでは、授業コミュニケーションを通して学級に流通・分配される「認知的価値」が注目される。 以上のような分析は、「市みんのつくり出すもの」(小学校3年)、「わたしたちの食生活と水産業」(小学校5年)、「資源を守る」(小学校5年)の各授業実践のAV機器による記録、トランスクリプト(文字記録)の作成を進めながら、収集・確定された基本データに基づいた実証的な授業分析と理論枠組みの提出として行ったものである。
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Report
(1 results)
Research Products
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