Research Abstract |
コミュニケーションを円滑に行うには,相手の信念状態や情報伝達に伴うその変化を的確に予測できなければならない.例えば,図を用いて機械の組立方法を説明するような場合には,その図を見て自分が常識で判断できる内容は相手も同様に判断できるあろうという仮定を設けることにより,両者の間での無駄な情報の授受を避けることができる.ここで,人間が図から得ている情報は機械部品の完全な3次元形状記述である必要はなく,大雑把な記述,場合によっては定性的な記述で十分である.これから言えることは,機械と人間のコミュニケーションの円滑化に目的をおいた場合、画像理解システムに要求されるのは,従来コンピュータビジョンの分野で追求されてきた実世界の完全なモデリング能力ではなく,人間の認知世界のモデリング能力である,という事実である. 本研究では,上記の例のような知的コミュニケーションを実現するための実験的基礎研究として,物体形状や配置情報,部品間関係に関する機械と人間のコミュニケーションを題材とし,以下の課題に取り組んだ. 1)物体形状と配置情報の表現 人間とのコミュニケーションに適した形状や配置情報の詳細度とその表現方法について検討した. 2)複数の部品の存在する線画の理解 形状復元の従来手法では複数の物体が存在するケースは扱えなかったが,共面性を仮定することによって物体の配置まで推測する方法を提案し,システムを試作した. テクニカルイラストレーションの生成 機械側からの図の提示に関して,人間に見やすいイラストレーションを生成する手法について検討した.
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