Research Abstract |
救急医療情報システムの運営と評価を行うにあたり,アンケート配布による調査・分析と直接出向いてヒヤリングする調査・分析の二つの方法を用いて,課題研究を行った。 アンケートによる調査においては、ケース・スタディとして,ある一つの県における救急医療情報システムの住民利用者に対し,救急医療情報システムに関する実態調を行った。これにより,住民から見た救急医療情報システムの評価における分析を行った。 また,ヒヤリング調査では,東京都,岐阜県,愛知県,北海道,福岡県,佐賀県等の救急医療情報システム(センター)に直接出向き,運営状況,問題点,将来計画等の様々な項目について,担当者に直接話を聞いた。この時,実際の救急医療情報システムについても見学し,いくつかの調査・分析を行った。さらに,住民や救急医療情報システムのオペレータに対しても,いくつかのヒヤリング調査を行った。 これらの調査・分析結果から,現在の救急医療情報システムは,どの県においても,システム内外に多くの様々な問題点・課題を持っており,住民・社会ニーズに応えられるように運営されているシステムは少ないと言える。とくに問題なのは,救急医療情報システム側にあるというよりは,救急医療体制(システム)の基盤が整備されていないことにある。不安定な救急医療の基盤の上に,救急医療情報システムがのっているために,システムが十分な機能を果たすことができない。この問題を解決するには,救急医療活動を支援すると同時に,救急医療基盤を整備を支援していくシステム(例えば,救急医療情報システムに医療機関連携支援情報システムを加えたシステム)の構築が必要となってくる。 このようなことから,救急医療情報システムの発展・整備・充実が必要であり,今後さらに調査・研究を行い,新システムの構築を提案していく計画である。
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