Research Abstract |
霊芝の源植物である万年茸より分離した寄生菌(Trichoderma koningii)の培養液を菌体と培地とに分離後,それぞれをCH_2Cl_2及びBuOHで抽出して各エキスを得た。得られた各エキスの万年茸の菌糸に対する成長阻害活性を測定したところ,培地のCH_2Cl_2エキスが成長阻害活性を示した。このCH_2Cl_2エキスをシリカゲル及びセファデックスLH-20カラムクロマト,逆相HPLCを用いて分離を行い,4種のペプタイドを単離した。得られた各ペプタイドの構造をアミノ酸分析,NMRスペクトル,FAB-MS/MSスペクトル等のデータに基づいて決定した。その結果,これらはいずれもN末端にアセチル基,C末端にフェニールアラニノール基を有し,alpha-アミノイソ酪酸を多量に含むペプタイボールであることがわかった。 上記のペプタイボール類が霊芝の菌糸に対する成長阻害作用を示すことが認められ,これらペプタイボールがTrichoderma koningiiの霊芝に対する成長阻害に関与していることが示唆された。また,これらに類似のペプタイボール類に,電位依存性カルシウム透過性イオンチャンネル形成作用が報告されていることから,カエル心筋に対する作用を調べたところ,強い心筋収縮作用が認められた。今後,電気生理学的手段を用いて,この心筋収縮作用がカルシウムチャンネルの形成よるものかどうかを含めて,その作用機構について検討する予定である。
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