Research Abstract |
ネズミチフス菌のphoN(酸性ホスファターゼ)遺伝子およびpagC(病原性に関する遺伝子)は、炭素原、リン酸、窒素原、硫黄などの欠乏により発現誘導され、phoP,phoQ遺伝子により調節されている。このphoP,phoQ遺伝子は、大腸菌にも存在し、さらに他の腸内細菌をはじめ下等真核生物である酵母にも存在している。このグローバルな発現調節機構を担っているphoP,phoQ遺伝子に着目し、まずゲノム構造が解明されつつある大腸菌でのphoP-phoQレギュロンの解析を行なった。 1.大腸菌のphoP-phoQオペロンの調節機構の解析 (1)大腸菌のphoP-phoQ,および欠失突然変異株の作成 大腸菌のphoP-phoQオペロンがそれら自身により自動調節されているかどうかを調べるために、まず大腸菌野生型株CSH26のphoP-phoQ,およびphoQ領域にカナマイシン耐性の遺伝子を導入することによりphoP-phoQ,およびphoQ欠失突然変異株を作成した。 (2)大腸菌のphoP-phoQオペロンのプロモーター活性の測定 大腸菌のphoP-phoQオペロンのプロモーター領域を、プロモーター活性測定用ベクターにつなぎ、炭素、リン酸、窒素原の欠乏条件下でのプロモーター活性を(1)で作成した突然変異株を用いて解析した。その結果、大腸菌のphoP-phoQオペロンは炭素、リン酸、窒素原の欠乏により発現誘導が起こり、その発現はphoP-phoQオペロン自身により自動調節されていることが明かとなった。
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