Research Abstract |
1 G1サイクリンcDNAのクローニング G1サイクリンは細胞周期の特にG1/S移行に重要な働きを担っており、種々の細胞内シグナルの最終ターゲットであると考えられている。我々は高等動物におけるG1/S移行の分子構造を研究する一環として、プロラクチン(PRL)依存性に細胞増殖を示すラットTlymphoma Nb2細胞からG1サイクリンcDNAのクローニングを行った。フローサイトメトリー解析から、GO/G1期に同調させたNb2細胞をPRL刺激すると、8〜12時間後にS期に進行することが判明した。G1後期のmRNAをテンプレートしてRT-PCR反応を行い、サイクリンD2,D3をコードするcDNA断片を単離した。G1後期のNb2細胞mRNAから常法により二種類のgt10cDNAライブラリーを構築した。サイクリンD2,D3のcDNA断片をプローブとしてスクリーニングを行い、サイクリンD2,D3の前駆体をコードするcDNAをクローン化した。細胞周期の進行に伴うサイクリンmRNA量の変動をノーザンブロット法により解析した。サイクリンD2の発現はG1中期に上昇し、S期以前に急速に減少した。一方サイクリンD3の発現はG1後期からS早期にピークに達した後徐々に減少した。これら二つのサイクリンは互いに異なる役割を担っていることが示唆された(投稿中)。サイクリンC,E並びにE2F1についてもcDNA断片を単離し、発現様式の解析を行った(未発表)。さらに、二種類のラットcdc2関連キナーゼのcDNAをクローン化した(投稿準備中)。現在、サイクリンのゲノムDNAの単離を行い、その発現調節機構の解析が進行中である。 2 プロラクチンにより発現誘導される遺伝子のクローニング 我々はPRLのシグナル伝達機構並びにT細胞機能制御の機構を解析するために、differential screening法を用いてPRLにより発現誘導される遺伝子のクローニングを行った。PRLはほぼall or noneにそしてドラマチックにT cell receptor chainの発現を誘導した。さらに、この発現誘導はチロシンキナーゼを介していない(投稿準備中)。今後T細胞の成熟、分化におけるPRLの役割が明らかとなることが期待される。
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