Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Research Abstract |
in vitroの実験系で用いられる種々の動物由来の細胞株はそれぞれ特徴ある形質を持つ。それらの細胞株の遺伝的形質を把握し,またそれが変化しやすいものであることを理解した上で用いることが望ましい。細胞株の種の鑑別および株の識別や同定についてはいくつかの方法を用いて行われている。ここでは実際的な遺伝的品質管理業務での実施という観点から比較的迅速簡便な検査方法である生化学的,分子生物学的な手法の中から検査項目の検討を行った。 生化学的検査では標識遺伝子LDHとGPIの2項目をセルロースアセテート膜電気泳動法により検討した。両標識遺伝子ともマウス,ラット,ヒトでは泳動像に明確な差異が認められ,種の鑑別が可能で,更にGPIはマウスの系統差も反映していた。 分子遺伝学的手法によるDNA検査では少量の細胞から得られたDNAを用いて,各染色体上にマップされているマイクロサテライトマーカーをPCR法にて調べた。これらのマーカーは系統により多型が見られるもので,何れも由来系統と同様のバンドが検出された。またマウス,ラット由来細胞株をヒト由来細胞株と鑑別する方法としてヒト特異的なPVR遺伝子のPCR法による検出系が利用できた。これらPCR検査に用いるテンプレートは細胞溶解用緩衝液(1XPCR buffer+NP40+Tween20+Proteinase K)で細胞を溶解させただけのものでも結果に変わりは無かった。この他,染色体数やDNAフィンガープリンティング法など個々の株を識別することに利用しているが,検査に時間を要するなどの問題もある。生化学的検査は組織特異性があり,全てに利用できる訳ではない。由来組織や状態など個々に違う細胞株においてはそれらに左右されずにごく少量のサンプルで検査できるマイクロサテライトマーカーの利用が有用であると思われた。これらの検査項目を目的に応じて選択することにより信頼性および再現性の高い細胞株の遺伝的品質管理が可能であると考える。
|