Project/Area Number |
05801010
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
美学(含芸術諸学)
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
津上 英輔 成城大学, 文芸学部, 助教授 (80197657)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | G.メイ / V.ガリレーイ / 芸術概念 / バロック音楽 / 古代楽譜断片 / 模倣論 / 表現論 |
Research Abstract |
西洋音楽については、文学や美術とは違って、古典の伝統について語られることがほとんどなかった。しかしここにもそれが明確に存在することを明らかにし、そしてそれがどのようなありかたで後代の音楽を規定していったかを考えるのが本研究の目的であった。平成5年度の研究でその目的は半ば達成されたが、残る半ばは未達成のまま残ってしまったと言わねばならない。 達成されたのは、16世紀から18世紀までの音楽史の流れの中で、いかなる古典の伝統が、いかなる形で音楽の理解や実践を方向付けたかに光を当てることである。それは二つの研究成果となって表われた。 ひとつは、「V.ガリレーイと古代楽譜断片:西洋音楽における古典の一断面」(1993年美学会全国大会で口頭発表、『美学』に投稿予定)である。ここでは、16世紀に盛んになった音楽上の人文主義の中で、当時はじめて西欧世界に紹介された古代の楽譜断片が、古代からの直接の遺産として注目されずに終わったことを手がかりに、音楽における「古典」の像が古典研究や文学といった他の学問・芸術のジャンルから、理念のまま横滑りしてきたものであることを指摘した。 もうひとつは、「模倣と表現の一致:G.メイの音楽観と近代芸術概念」(『成城文芸』文芸学部四十周年記念号、1994年4月発行予定)である。ここでは、16世紀後期の文献学者/音楽評論家メイの音楽観が、アリストテレース『詩学』を介して18世紀フランスのデュボスやバトゥに力を及ぼし、彼らが音楽を「芸術」の概念に組み入れるための素地を提供したことを明らかにした。 当初の目的として掲げながら、今年度の研究で明確な成果を生むに至っていないこととして、音楽上と美術・文学上の「古典主義」の異同と影響関係の問題がある。これまでの成果を踏まえつつ、今後の研究の課題としたい。
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Report
(1 results)
Research Products
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