Project/Area Number |
05802001
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fundamental law
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 晃 北海道大学, 法学部, 教授 (90164813)
|
Project Period (FY) |
1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 公正 / 平等 / 自由 / 多元的公正 / 社会制度 |
Research Abstract |
本研究では、現代社会において要請されている「公正」な社会制度の基本理念は何かということを平等と自由の観念の哲学的反省を通じて明確にするという問題関心に立って、それらを最大限に調和させうる「公正」の内容を理論的に明確にすることが試みられた。そこでは、まず人々の要求が、その実現の場との関係から政治、社会、経済の三つの領域に関わるものとして範疇化されると共に、その一方で、それぞれの実現の次元として、人々の活動の相としての活動資格、活動能力、活動結果の側面でも範疇化されると捉え、制度的な規制や保障の対象となる人々の要求を立体的に把握することがなされた。このような見方を前提すると、人々に対する平等や自由の保障は、二つの範疇化が組み合わさって形づくられるマトリックスの局面に応じて、厚いものから薄いものまで程度を異にする多元的な性格を有するものとして示されることになる。そして、この多元的保障の枠組それ自体こそが「公正」という価値の内容として提示されうるのである。そこでは、平等と自由とは保障局面と保障程度に応じて相対的に整序されることになり、この帰結として、従来の哲学的自由論あるいは平等論における、消極的自由と積極的自由の対立や、機会の平等と結果の平等との対立という問題についても、それらを統一的な枠組の内で調和させるという理論的可能性を示すものとなる。残された問題は、この理論的研究を基礎としながら、「公正」な社会制度の構想がいかなる具体的帰結を生むことができるかを幾つかの具体的問題に則して探究することである。特に取り上げたいのは、外国人や先住民の政治的平等権の認知、企業の経済活動の自由と環境権との調整、そして福祉における公的保護と自助とのバランスといった問題であるが、これらは次年度以降の研究課題である。
|