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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究は,走査トンネル顕微鏡(STM)技術をベースとした近接電界極微細加工装置により,大気中において金属および半導体表面に,バイアス電圧に重畳したパルス電圧を印加することで,試料表面に強電界を誘起せしめ,電界蒸発に起因する局所表面形状変化を起こし,数十ナノメートルレベルの加工・接合を実現し,そのメカニズムを解明することを目的とした。 探針として金蒸着したタングステン探針を,試料としてガラス基板上の金薄膜を用いた場合,得られた主な結果は, 1.パルス電圧の印加による表面形状の変化(加工痕)は主に隆起状のものであった. 2.加工痕の形成は試料表面の局所的な凹凸(平坦性)に非常に影響を受けた. 3.パルス電圧の増加とともに,加工痕の大きさとその形成確率は大きくなった.加工痕の直径および高さは,それぞれ100nmと10nm程度であった.パルス電圧が+3.0V以上では,形成確率は50%以上になった.一方,パルス電圧印加時間と加工痕の大きさとは明確な依存関係はなく,形成確率についてはパルス印加時間が少なくとも1μ秒程度以上でないと高い形成確率(50%以上)は得られない. 4.探針-試料間の距離と加工痕形成結果との依存関係を調べた結果,その距離が0.6nmの時に加工痕は形成確率が極大となり,50%以上の確率で形成可能であった.これは,遠ざかると電界強度が低下すること,また近すぎると電気的短絡状態に近い状態になることに起因する. 5.金蒸着探針は,一本でパルス印加回数が約300回程度まで安定して加工痕を形成した. 6.探針を移動しながらパルス電圧を連続印加することで極微細ラインパターンを形成した.その時の最小のライン幅は46nmであった. また,試料としてシリコン基板を用いた場合,加工痕は金薄膜表面に形成されたものと同様なものが確認されたが、形成確率は非常に低かった.
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