Research Abstract |
1.肝硬変症の発現と神経系・神経内分泌系の関与 肝硬変症は総胆管結紮(モルモット)・四塩化炭素投与(ラット)にて作成、比較検討した。 (1)総胆管結紮肝:結紮後1〜2週肝では門脈域での神経線維の一時的な減少と再生が観察され、神経細胞を多数認めた。この神経後胞の出現はAChE活性法および透過電顕でも確認したがその意義は現在検討中。筋線維芽細胞(MF:α-SMアクチン抗体+)は網状壊死領域に多数観察されたが門脈域ではほとんど認めない。ペプチド神経線維は、NPY(++),CGRP(+),VIP(+),SP(-)であった。 (2)四塩化炭素投与肝:線維形成は小葉周辺帯で線維隔壁を形成。神経線維は線維隔壁内で多数観察された。MFはこの線維帯で多数認めた。電顕的にMFは脂肪滴を有し伊東細胞と類似の細胞様に思えるが、基底膜を介して血管内皮細胞の近傍に位置している。MFは時にグリソン鞘内で肥満細胞と接しても観察された。ペプチド神経線維は、NPY(+),CGRP(+),VIP(+)であった。 2.線維形成過程にある線維芽細胞(F)および筋線維芽細胞(MF)へのコリン性神経支配の明確化、伊東細胞との神経支配の可能性の探索 神経終末は、F・MFの細胞質と接触または近傍に位置して観察された。特にラット四塩化炭素投与肝ではMFとの接触が著明であった。電顕的に神経終末内の小胞は(1)有芯小胞(大型・小型)+無芯小胞と(2)多数の無芯小胞+小数の大型有芯小胞のグループを見た。結紮肝の網状壊死領域内では経過とともにα-SMアクチン陽性MFの出現を見たがこの細胞は伊東細胞がトランスフォームした可能性が強く、グリソン鞘内ではMFは認めずF様細胞のみであった。これらFおよびMFのVIPリセプター抗体の有無の検索を現在実験中である。
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