精神分裂病における神経成長因子群の遺伝子の多型解析
Project/Area Number |
05807080
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
南光 進一郎 帝京大学, 医学部, 助教授 (60101127)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | NT3 / BDNF / NGF / 分裂病 / 多型、 / 遺伝子 |
Research Abstract |
神経成長因子ファミリーに属するニューロトロピン-3(NT3)を取り上げ検討した。NT3は、胎生期の中枢神経系に発現し、神経細胞の分化、増殖、移動をつかさどる。ところで精神分裂病の病因には遺伝が関与していることが知られているが、いまだその病因は明かでない。最近では、疫学(インフルエンザ感染との関連)・神経病理(グリオーシスの欠如)・画像解析(側脳室拡大)の結果から海馬を中心とする神経細胞の胎生期における発達障害の可能性が示唆されている。したがってNT3遺伝子は、分裂病の病因に関与する候補遺伝子(candidate gene)の一つと考えられる。我々はNT3遺伝子プロモーター領域に2塩基繰り返し配列を発見し、これが19回(A7)から25回(A1)の繰り返しまで、7つのalleleに分かれることを認めた。そこでこの多型と分裂病との関連(allelic association)を検討した。対象は帝京大学精神科に通院中の分裂病(DSM-III-R)に対して、口頭及び文書で研究の目的を伝え、同意の得られた70名と健常者70名である。末梢血からDNAを抽出し、当該領域をPCRで増幅後、電気泳動を行い、alleleの頻度を比較した。その結果23回の繰り返し配列をもつA3が、分裂病群で有意に多く観察された(P<0.003)。遺伝子型でA3をホモ接合体およびヘテロ接合体で持つ個体の、分裂病の相対危険率は2.4倍(95%信頼限界1.215-4.740;P=0.011)であった。以上の結果は、NT3の遺伝子型によって分裂病発症の危険性の高い個体が同定できることを示すものである。また、分裂病の病態発生に神経発達障害が関与していることがさらに示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)