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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
血管内皮細胞は、様々な刺激に反応して血管拡張因子(EDRFやPGI_2)や血管収縮因子(エンドセリン;ET)を産生,遊離することにより,血管のトーヌスの調節に重要な役割を果たしている. ETは、強力な血管収縮物質で、心筋梗塞や本態性高血圧などの発症にかかわる重要な因子として注目されている。ETの血管に対する作用は、内皮細胞機能により修飾を受けることが知られている。そこで本研究者は、1)ETの冠血管収縮作用が加齢によりどのように変化するか,2)ETのその作用には内皮細胞機能がどのように関与し,3)それらが加齢によってどのように修飾されるかを検討することにより,加齢による内皮細胞機能変化とその機序の解明を試みた. [方法]2,6,24-27ケ月齢のFisher344ラットから摘出した心臓をLangendorff式に定圧潅流し,冠流入量および心機能を測定した.[結果]ETによる冠血管収縮作用は加齢とともに増加した.この加齢差はEDRFの合成阻害薬の前処置により消失した.この結果は,ETに反応して血管内皮細胞はEDRFを放出し,これが冠血管をETによる強力な収縮作用から保護するのに重要な役割を果たしていること,このEDRFの遊離機能は若齢ラットでは活発であるが老化により著明に低下すること、この低下が加齢によるETの作用増強に寄与している可能性を示唆した.一方,血管内皮細胞はETに反応してもう一つの強力な血管拡張物質PGI_2を遊離し,これも冠血管をETによる強力な収縮作用拮抗するのに重要な役割を果たしていることが明らかになったが,PGI_2の産生・遊離機能に加齢差は認められなかった.[結論]1)ETの冠血管収縮作用は加齢により著明に増加した.2)血管内皮細胞はETに反応して,EDRFとPGI_2を遊離し,これらがETによる冠血管収縮作用に拮抗していること 3)加齢に伴いEDRFの遊離機能が著明に低下したが,PGI_2の産生・遊離機能に加齢差は認められなかった.従って,EDRFの産生・遊離機能が老化により選択的に低下することが明らかになった.現在,ETによる心筋収縮力増強作用が内皮由来の拡張因子とは関係なく加齢により低下すること,それには筋小胞体の機能が関与していることを示唆するデーターを得ている.それと併せて加齢によりEDRFの産生・遊離機能が選択的に低下する機序を検討中である.
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