家族性アルツハイマー病細胞特異的プロテアーゼのβアミロイド蓄積におよぼす機能の解明
Project/Area Number |
05834010
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
老化(加齢)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 明 神戸大学, 医学部, 講師 (80181759)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | βアミロイド / アルツハイマー病 / リンパ芽球細胞 / βアミロイド前駆体蛋白(APP) / キモトリプシン型セリンプロテアーゼ / Kunitzプロテアーゼインヒビター |
Research Abstract |
研究成果(平成5年度) βアミロイドの異常蓄積機構の解明はアルツハイマー病(AD)やダウン症候群(DS)のみならず正常脳老化の分子的理解に本質的重要性をもつ。申請者は家族性アルツハイマー病(FAD)および正常人由来リンパ芽球細胞を用いた解析から、これまでに以下の点を明らかにした。 1。FAD細胞ではβアミロイド前駆体蛋白(APP)およびそのmRNAの発現増加(2-3倍)がある。また本研究に使用する神経系細胞はすべてAPPを発現している。 2。Pulse-chase実験からFADリンパ芽球細胞の細胞質では、βアミロイドと細胞質ドメインを含む16kDa(SDS-PAGE)のC-端側断片(プレアミロイド)を正常細胞の2-3倍発現しており、そのプロセッシングが障害されている(2時間chaseで10-20%)のに対し、正常リンパ芽球細胞はそれをほぼ完全に(2時間chaseで90%)分解する。ちなみに神経系細胞へのAPP-cDNA導入により細胞質に16kDa蛋白が著増することが他研究者により明らかにされている。 3。細胞質および細胞外液中の上記プレアミロイドは、ギ酸抽出法、tris-tricineゲル分離によりさらに4-6種類のペプチドに分離でき、その量的に多い分子のN-端側アミノ酸配列を決定した。細胞内外で最も多いペプチドはβアミロイドN-端から30アミノ酸N-端側に切断部位をもち、FADリンパ芽球細胞ではさらに15アミノ酸上流、βアミロイド内、膜ドメイン内に切断部位をもつペプチドが確認できた。βアミロイドN-端断片をもつペプチドは両種細胞の外液中で確認されたが、細胞質中では少なくとも主要断片ではなかった。 4。FAD細胞、特に早期発症型、は細胞内外に68kDa、Ca^<2+>依存性プロテアーゼを多量に発現しているが、正常細胞では殆ど検出できなかった。この酵素はAPPのKunitzプロテアーゼインヒビタードメインと熱に不安定でSDSに安定な複合体(細胞外液中では120kDa、膜標品では180kDa)を形成した。 5。上記の特質を利用して、申請者は抗APP抗体を用いて細胞外液中の複合体から本酵素を精製した。本酵素はキモトリプシン型セリンプロテアーゼで、Ca^<2+>の存在下でオリゴヌクレオチドおよび天然APPのβアミロイドN-端側(K-M-D)を切断したが、EschらのAPP secretase部位は切断しなかった。 6。精製酵素を抗原としてウサギを免疫し特異抗体を得た。この抗体を用いアルツハイマー病患者脳由来cDNAライブラリーをスクリーニングして2kbのcDNAクローン(pFADP)を得たが、正常人脳由来ライブラリーからは単離できなかった。さらに、本クローンの塩基配列を決定し、プロテアーゼ機能ドメインを推定した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)