自然老化、アルツハイマー病における細胞骨格変化とその脳内情報伝達系への影響
Project/Area Number |
05834011
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
老化(加齢)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 利和 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50128518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小沢 寛樹 札幌医科大学, 医学部, 助手
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 老化 / アルツハイマー病 / 脳 / 細胞骨格 / 情報伝達 / G蛋白質 / アデニル酸シクラーゼ |
Research Abstract |
健常人(18-89歳)、アルツハイマー病者の死後脳を用いて、脳各部位における受容体-G蛋白質-効果器系の変化を検索した。tubulinn機能の検索については、人脳からの精製が出来ずラットのものを使用した。 I)生理的加齢 【加齢に伴う各G蛋白質[Gs(GsH,GsL),Gi,Go,Gq,Gb]量の変化】GsHは全ての領域において有意な変化は認められなかった。GsLは尾状核で有意な減少を示したが、他の領域では有意な変化はみられなかった。Giは大脳皮質側頭葉領域を除く全ての領域で有意な減少を認めた。また側頭葉領域においても減少傾向を示した。Goは尾状核で有意な減少が認められたが、他の領域では有意な変化はみられなかった。Gqは大脳皮質頭頂葉及び扁桃体領域において有意に減少しており、他の大脳皮質領域においても減少傾向を示した。Gbは大脳皮質側頭葉及び後頭葉領域で有意な減少が認められた。一方、脳内部位別に比較すると、尾状核領域では大脳皮質領域で認められたGiの減少に加え、GsL,Goの有意な減少が認められた。【加齢に伴う各G蛋白質[Gs,Gi/o(Gi及びGo)]機能の変化】各G蛋白質に対するAAGTP結合量はいずれの領域においても加齢との有意な相関は認められず、またGsとGi/oのAAGTP結合量の比はほぼ一定であった。【加齢に伴うAC活性の変化】基礎及び刺激薬(MnC12,NaF,forskolin)AC活性値は、加齢との有意な相関は認められなかった。しかしながら、ラットでは加齢に伴い、チューブリンとGiとの相互作用が減少しており、今後この点を更に検討する必要がある。 II)アルツハイマー型痴呆(DAT)におけるGTP結合蛋白質の量と機能の変化について 【G蛋白質量の変化】大脳皮質頭頂葉,側頭葉領域ともに、いずれのG蛋白質subtypeにおいても、DAT群と対照群間に有意な差は認められなかった。【G蛋白質機能の変化】GsaのAAGTP結合量は、DAT群で対照群に比し、側頭葉領域で約30%、頭頂葉領域で約40%の有意な減少が認められた。GioalphaのAAGTP結合量は、両領域ともに有意な変化は認められなかった。GsalphaとGi/oalphaのAAGTP結合量の比は、DAT群で対照群に比し二領域とも約40%の有意な低下を示した。 以上より、本研究にみられたヒト死後脳の生理的加齢におけるAc系と共役するG蛋白質の量的変化は、直接機能的変化に結びついておらず、何らかの代償性調節が働いていることが示唆された。但し動物実験では、チューブリン機能の変化が示唆され、今後の検討が必要と思われた。一方、加齢に関連した疾患の代表例であるDATにおいては、G蛋白質の量に関して、対照群との間に有意な差は認められなかった。しかしながらAAGTP結合実験においては、DAT群でGsに対するAAGTP結合量の減少が認められ、Gsの機能的低下が示唆された。またGsとGi/oのAAGTP結合量の比もDAT群において低下しており、G蛋白質の機能的バランスの障害が示唆された。この障害の発症メカニズムが疾病解明の重要な鍵になると思われた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)