アルツハイマー病におけるラセミ体の形成およびラセミ体修復機構に関する研究
Project/Area Number |
05834020
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
老化(加齢)
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
白沢 卓二 (財)東京都老人総合研究所, 老人研・分子病理, 研究員 (80226323)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広川 勝いく (財)東京都老人総合研究所, 老人研・免疫病理, 部長 (00014093)
高橋 浩士 (財)東京都老人総合研究所, 老人研・免疫病理, 研究員 (20226880)
森 啓 (財)東京都老人総合研究所, 精神研・分子生物, 室長 (10159189)
|
Project Period (FY) |
1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | アルツハイマー病 / ラセミ体 / カルボキシルメチルトランスフェラーゼ / D体アスパラギン酸 / 神経原繊維変化 / 神経変性 / 分解・修復機構 / ディファレンシャルハイブリダイゼーション法 |
Research Abstract |
アルツハイマー病の神経変性過程における分子機構を明らかにする目的で、アルツハイマー病脳で特徴的に発現する遺伝子をディファレンシャル・ハイブリダイゼーション法を用いて検索した。アルツハイマー病剖検脳および対照脳より抽出したmRNAより調整した^<32>P標識プローブで、ラット胎児脳cDNAライブラリーをスクリーニングした。その結果、12個のアルツハイマー病に特徴的な発現を示す胎児脳遺伝子を単離し、部分塩基配列を決定した。その結果、フェリチン重鎖遺伝子、タイプIVコラーゲン遺伝子、コフィリン遺伝子、プロフィリン遺伝子、カルボキシルメチルトランスフェラーゼ遺伝子、および7個の未知遺伝子が同定された。本研究課題では、特にカルボキシルメチルトランスフェラーゼ(CMT)に関しアルツハイマー病の神経変性における病的意義を解析した。CMTのラット脳および剖検脳における遺伝子発現をノザン法で、タンパク発現をウエスタン法で検討したところ、CMTの遺伝子発現およびタンパク発現は加齢とともに増強し、アルツハイマー病剖検脳でもCMTの発現が増強していることが明らかとなった。更に、CMTに対する特異抗体を作製し、アルツハイマー病脳でのCMTの局在を免疫組織化学法を用いて検討し、CMTが神経原繊維変化、変性神経細胞の細胞質、変性軸策に高濃度で局在する事を明らかとした。更に、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、神経原繊維変化を認めない神経細胞におけるCMTの細胞質内濃度を測定した結果、アルツハイマー病の変性神経細胞では、対照脳の神経細胞に比べCMTの濃度が有意に上昇していることを明らかとした。神経原繊維変化およびbeta/A4アミロイドタンパクがともにラセミ化されているという最近の知見およびCMTがラセミ化蛋白質のD体アスパラギン酸またはイソ体アスパラギン酸を分解・修復する生化学特性を持つことにより考察すると、アルツハイマー病におけるCMTの発現増強は、アルツハイマー病におけるラセミ体形成の促進を示唆するもので興味深い所見である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)