Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
本研究では,化学反応波の伝搬に伴い発生する流体現象の定量的計測を中心とする実験的研究と,オレゴネータ・モデルのタイソン・バージョンに基づく反応拡散式の数値シミュレーション研究の2つのアプローチから研究を進めた。 実験的研究においては,化学反応波の伝搬のダイナミックスの解析のために,動画像処理による2次元速度ベクトル場計測法を独自に開発した(研究論文1)。この手法の導入により,トリガ方法の違いによる2種類の化学反応波(一定速度で伝搬するトリガ波と加速的に伝搬するビッグウエーブ)の伝搬のダイナミックスが定量的に計測でき,両者の違いを的確に捉えることが可能になった。また,アルゴンレーザの導入により,レーザ散乱照明下の溶液中のサブミクロン微粒子の運動が顕微鏡動画像としてクリアに可視化できるようになり,反応波の伝搬に伴う流体現象の発生を動画像処理により自動計測できるようになった(研究論文2及び研究図書)。また,関連した研究成果として,0.2μm程度までのブラウン粒子の粒形評価法を動画像処理により実現した(研究論文3)。このことは,溶液中の非常にミクロなブラウン運動からマクロな流れに至る幅広い流体現象を,動画像処理により定量的捉える手法の基本が確立したことを意味する(関連研究は1993年6月カオスと複雑系に関する国際会議(仏)で報告)。 また,九州工業大学の甲斐教授との共同研究により,化学反応波の伝搬に伴い溶液界面の微小な変形をマッハツェンダー干渉計測法に計測した。ビッグウエーブの伝搬時のみに見られる界面の変形や,伝搬速度の溶液層深さ依存性から新たにHydrochemical Solitonの概念を提案するに至った(研究論文4及び1994年3月の筑波国際ワークショップで発表)。 一方,ドイツPlesser博士,Wilke博士,龍谷大学小林助教授や本学横山助教授との議論を通して,反応拡散の範囲で2種類の伝搬形態の存在や,加速的伝搬の可能性を追求したが,現時点では反応拡散だけでは説明が困難である。流れの発生による反応波波面の曲率の変化等を考慮する必要性を指摘した(1994年3月の筑波国際ワークショップで発表)。反応拡散と流体現象の結合したシミュレーション研究を継続中である。
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