新しい血管新生因子VEGF受容体の遺伝子クローニングと構造及び機能解析
Project/Area Number |
05837012
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
血管生物学
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榎本 平 神戸大学, 医学部, 助手 (00127622)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | VEGF / 血管内皮細胞 / Balb / c3T3 / VEGF受容体 |
Research Abstract |
血管内皮細胞由来細胞株Balb/c3T3を用いて、1)血管内皮細胞増殖因子VEGFの受容体遺伝子のクローニング、2)この細胞より分離したVEGF非応答細胞株Balb/c3T3TR4変異株の生化学的解析、3)この変異細胞へのVEGF受容体遺伝子の導入による細胞応答の解析を試みた。マウスおよびヒトcDNAライブラリーを用いて、VEGF受容体関連遺伝子を検索した。その結果、Balb/c3T3およびヒト血管内皮細胞で発現している未知のチロシンキナーゼ遺伝子(Vef-1と名づけた)を分離した。現在までの解析で、このVef-1は、その構造上すでに知られているVEGF受容体遺伝子fltやKDR/Flk-1と一部似ているが、明らかに異なる遺伝子であることが判明している。現在その全構造を解析中である。Balb/3T3TR4変異株のVEGFへの応答の解析から、この細胞はVEGFによる形態変化に耐性であること、VEGFによるチロシンリン酸化される蛋白のうち160kDa蛋白のリン酸化がTR4細胞では欠損していること、VEGFの細胞への結合活性は両細胞で差がないこと、などが判明した。さらに、この160kDa蛋白のリン酸化の異常は、VEGF刺激に伴う160KDa蛋白のチロシンではなくセリンリン酸化に異常があることが判明した。DNA合成への刺激に対する両細胞の応答には差がみられなかった。以上の結果より、この変異細胞TR4では、VEGFによる細胞形態変化を誘導する系に変異が起きていると考えられる。生化学的解析の結果は、その変異因子は160kDa蛋白であることを示している。また、VEGF刺激で、160kDa以外にもいくつかの蛋白がチロシンリン酸化されることが明らかになった。これらの結果は、この細胞系がVEGFのシグナル伝達の生化学的解析に有用な細胞系であることを示している。VEGFの受容体の一つflt-1を発現ベクターpSRaに組み込み、この細胞で発現させる試みも現在行っている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)