Project/Area Number |
05852006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
International law
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中野 俊一郎 神戸大学, 法学部, 助教授 (30180326)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 国際的人身事故 / 国際裁判管轄権 / 不法行為準拠法 |
Research Abstract |
国際的な人身事故の法的処理をめぐっては、国際裁判管轄がまず問題となる。わが国判例は、従来の民訴法管轄規定の画一的適用(いわゆる逆推知)から、事件毎の多様なファクターを総合判断する「特段の事情」論に移行している。しかし、そこで具体的にどのようなファクターが考慮されているかは、従来あまり明らかにはされてこなかった。そこで、国際訴訟競合や主観的併合の問題を含め、判例が極めて柔軟に内国牽連性を基軸とした判断を行う傾向にある、との結果を得た上で、これを福岡での「国際民事訴訟法に関するドイツ・スイス・日本国際シンポジウム」においてドイツ語で報告した。また、特に財産所在地管轄の問題については、ドイツ、オーストリアにおいて、内国牽連性を要件とする新たな動きが見られたため、日本の民訴法8条との比較研究を行い、わが国においても同様の解釈が必要となることを神戸法学所掲論文において示した。なお、これらは財産関係事件の国際裁判管轄の問題であるが、身分関係事件の国際裁判管轄の規律と必ずしも整合的でない点が今後問題になるものと考え、後者につき、日本の親子関係裁判例を中心としてドイツ語論文を執筆し、ドイツで公表した。財産関係事件について判例が行っているような「特段の事情」判断は、身分関係事件においても今後必要になるものと思われる。次に、国際人身事故の規律を考える場合、その準拠法決定ならびに国際運送・保険法をも視野に入れておく必要があるが、これについては、1994年公刊予定の概説書、コンメンタール(共著)の中で一般的な形で論じ得たに過ぎず、掘り下げた研究論文にはできなかった。また、とりわけ外国人被害者の逸失利益算定の問題につき、東京で貴重な資料を収集する機会に恵まれたが、これをどのように分析し研究としてまとめるかも、残念ながら今後の課題とせざるを得ない。
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