米国内航空輸送業の市場構造の調査、市場行動の数量モデル化、並びに市場成果の測定
Project/Area Number |
05853017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Commerce
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村上 英樹 神戸大学, 経営学部, 助手 (90243295)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 規制緩和 / ネットワーク効果 / 合併 / 競合可能性 / 市場支配力 |
Research Abstract |
米国航空業において、合併が航空会社の営業実績或は経営指標、更には経済厚生に対して、如何なる影響を及ぼしたのか、或は合併の規模或は形態の差異によって、その影響が企業間で異なったのかについては、未だ計測されていなかった。今回の研究ではネットワークの経済理論と産業組織論的視点から、メガキャリアに関する合併の影響を、米国国内線データを元に計測した。その結果、次のような計測結果を得た。 (1)ネットワーク拡張による座席利用率上昇、機材規模拡大、或は集中度上昇等の影響は、合併後一時的に大きくなるけれども、合併後の期間その傾向が維持されるとは言えない。 (2)'87年以前では運賃は集中度、座席利用率、及び平均費用により決定されていたけれども、'87年以降の景気後退局面では集中度と平均費用の決定力は弱くなった。しかし、合併企業の中でも、取り分けメインハブ空港における市場支配力を強化したノースウエスト航空についてのみ、ネットワーク拡張→集中度上昇→運賃上昇という因果連鎖が、合併後の期間においても観察された。この結果は、メインハブ空港における運航シェアを同程度増加させたノースウエスト航空とTWAの内、ノースウエスト航空のみが独占的市場において市場支配力行使による高運賃設定を行い得たとするBorenstein1990の実証結果と整合的である。 (3)利潤率は、景気回復局面においては集中度により決定される傾向がある。しかし、後退局面では座席利用率の影響を受け易くなる。また、この傾向は企業間で相異らない。 以上の結果から判断すると、合併を通じたネットワーク拡張→ハブ空港関連路線での市場支配力強化→高運賃設定、更には高利潤獲得という因果序列は、メインハブ空港での市場支配力強化を行った航空会社について顕著である。従って企業の経営政策としては、合併によるメインハブ空港関連市場における市場支配力強化は魅力であるけれども、社会的厚生の観点からは、そのような形式の合併は好ましくない点が指摘された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)